姫路市飾磨の調剤薬局
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副作用は一般用語と専門用語の意味が違うので、整理してみた

皆さん、薬を薬局で調剤してもらって医療用医薬品の添付文書は調べるでしょうか。この添付文書は医療関係者向けの資料なので読むときのマナーがあります。専門用語は複雑なもので、薬の分野での副作用は国語辞典だけでは意味が分かりません。

副作用はたくさんある

副作用は専門的には2つ意味のある言葉で、状況によって使い分けられています。①薬理学的意味の副作用と②現実に起こった副作用です。この中に③一般的意味の副作用が混じり込んで複雑怪奇なのが副作用の世界です。

最近では、医療用医薬品の添付文書を検索される方も多いかと思いますが、誤解が生まれやすいものでして、整理しておく必要があるかと思います。

とりあえず、図にしてみました。

わけが分からないですね。すみません。ひとつずつ説明していきます。

観念

「この薬の副作用は~」という表現に関することです。

この言葉を聞いた時、どんな印象を受けるでしょうか。

その副作用が普遍的な事実であると感じると思います。言い換えると、この表現には現実との接点に関する情報は入っていないことが言えるでしょう。つまり、現実に起こったかどうか、あるいは起こるだろうかという内容が無いということです。英語の平叙文みたいな表現です。学問としての薬、薬理学の範囲の考え方です。

薬理学上、薬が身体に対して何らかの影響を及ぼすことを「作用」といいます。その作用、は主作用と副作用の2つに分類されます。

主作用は目的とする作用のことです。副作用とは主作用以外の作用のことです。

目的によって線引きがなされており、目的は評価する人によって変わるというのがポイントです。

薬理学上の副作用(side effect)

主作用以外の作用を指します。英語ではside effectと言います。

例えば、「ジフェンヒドラミン」という薬物があります。この薬物は鼻水やかゆみで使う抗ヒスタミン薬です。アレルギー症状の改善が主作用です。副作用はその他の作用で、よくある副作用は眠気でしょう。

一方、この「ジフェンヒドラミン」を利用した睡眠改善薬があります。ドリエルなどが有名です。この場合には主作用が睡眠改善になります。鼻水やかゆみなどのアレルギー症状の改善は主作用ではないので副作用になります。

さて同じ薬物なのに、状況の違いで主作用と副作用が逆転しました。

何が変わったのでしょうか。

目的が変わったのです。そして「誰の」目的なのかというところが重要です。

つまり主観者によってそれが主作用なのか副作用なのかが変わるということです。

一般用医薬品の添付文書には「相談すること」という項目があります。これの一部がside effectのことを指していると言えるでしょう。製薬株式会社が起こりうると考える作用です。この場合の主観者は製薬会社です。

 

また、主作用か副作用か判断する材料はその作用の種類だけではありません。効果の程度もあるでしょう。

例えば、糖尿病治療薬には血糖降下作用がありますが、この作用は主作用です。ところが過度に下がりすぎると低血糖という副作用が起こります。このとき、その効果が主作用としての目的から逸脱して、目的外の作用として副作用のカテゴリーへと移るわけです。

 

一般に言われている副作用(有害作用)

普通、副作用と聞くと有害な作用だと考えるでしょう。これを有害作用(adverse effect)と言います。名前の通りです。

一般的に言われている副作用(=有害作用)と学問上の副作用(side effect)の何が違うのでしょう。

たとえば、次のような場合です。上記の糖尿病の例で考えていきます。

「思ったより血糖値下がりすぎちゃった。特に悪い症状は無いけど。」

これは副作用(side effect)でありながら、有害作用(adverse effect)ではないと言えるでしょう。

 

明らかな有害作用(adverse effect)の例としては、次のような場合です。

「ふらふらして危なかったからブドウ糖をすぐ飲んだ」

これは副作用(side effect)かつ有害作用(adverse effect)と言えるでしょう。

 

現実に起こったこと

「この薬で報告された副作用は~」という表現をするとき、その論点は現実に起こったかどうかにあるでしょう。薬理学的に起こりうるとか、作用機序がどうとか、この表現ではそういった情報は含まれていません。ここで挙げられる用語は過去に起こったかどうかの事実関係だけが論点になります。

有害事象(adverse event)

実際に薬を飲んで起こった有害な出来事のことです。それだけです。他に意味はありません。他に意図が無いことが大事で、薬理作用とは切り分けて考えないといけないのです。

Guideline for Good Clinical Practiceに厳格な定義が書かれています。

PMDAにPDFがアップされています。

副作用(adverse drug reactions)

薬物有害反応とも言います。

こちらもGuideline for Good Clinical Practiceに厳格な定義が書かれています。

ざっくり言うと「有害事象のうち好ましくない、かつ薬との因果関係が否定できないもの」のことです。

条件が2つですね。①有害事象であることと②薬の作用との因果関係です。

①については、ただ報告されれば満たされる条件ですが、②については非常に難しいでしょう。

「因果関係を否定する」ことはとても複雑で難しいことなので、実質的には①のみで(=有害事象)と考えて良いでしょう。

医療用医薬品の添付文書に書かれているのがこちらの副作用です。

臨床試験で報告されたものが書かれています。実際に起こった副作用をそのまま書いているので、「本当に起こるのかよ」と考えてしまうような副作用も書かれています。

リスクを知るには因果関係について理解する必要がある

副作用を考えるうえで最も重要なことは将来それが起こるかどうかという点でしょう。

ところが、実際に起こった副作用や薬理学的に考えられる副作用はそれぞれ全く独立したものです。

その薬を服用して将来起こる副作用もさらに別物です。

では、過去に起こったことや認識として知っていることを将来のリスクに反映させるにはどうすればいいでしょうか。

そう考えて、図と用語を見てみると面白いことが分かります。因果関係が観念と現実をつないでいるのです。

因果関係が過去と観念、もしかしたら未来をつなぐことができるかも知れないものです。

つまり、将来の副作用リスクを評価するには因果関係というものを理解する必要があることが分かります。

ただし、因果関係が厄介なものです。

以降の記事で上手く説明で来たらなと思います。

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