姫路市飾磨の調剤薬局
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因果関係の定義と性質

薬剤師の仕事には「この薬を飲んだらどうなるか?」を予測する技術が必要になります。

その技術のコアになるのが因果関係に対する認識です。

因果関係とは何を意味する言葉でしょうか。

素朴な定義

素朴な定義から始めていきます。
国語辞典では因果関係は下記のように表現されています。

いくつかの事柄の関係において,一方が原因で他方が結果であるというつながりのあること。

三省堂 大辞林

「〇〇が起こった。××だらかだ。」という原因と結果の関係です。

因果関係の定義と性質

もう少し因果関係の性質について掘り下げてみます。

ヒュームによる因果関係の定義

今日の因果関係に関する研究者の多くがデビット・ヒュームの哲学を基礎としています。

それは以下の通りです。

1.原因と結果が空間的・時間的に近接していること

2.原因が結果よりも時間的に先行しており、継続して結果が起こること

3.同じ原因から必ず同じ結果が生じること

引用)調査観察データの統計科学

1.空間と時間という言葉はそのまま物理学的な意味と考えて良い。

原因が起こった場所と結果が起こる場所が遠すぎたり、大きな時間差があったら因果関係なんてないよということ。

2.はそのままの意味。

3.の注意点は「必ず」というところ。前はあったけど今回はなかったというのは因果関係ではない。

これは科学ではなく哲学としての基準ということに留意する必要があります。

科学的検証ではなく、哲学の方法である経験に対する直観と反省によって考察する必要があります。

その評価に客観性は必須ではないというところがポイントです。

例えば1.に客観的な尺度は必須ではありません。

因果関係の性質

さらにヒュームは因果関係を経験に基づく心の習慣と表現しています。

因果関係は自然に存在するものでは無く、人間の認識の産物であるということです。

つまり、因果関係は客観的に証明をする類のものではないことが分かります。

「現実の因果関係」なんてものはそもそも存在しません。

このため、因果は「推論」するもので、「因果推論」という言葉があります。

ちょっとクドく言うと、因果推論は過去の出来事から観念として認識するという自分の頭の中での処理です。

自然界に存在する因果を見つけ出すわけではありません。

決して「因果証明」ではないのです。

「この薬を飲んで、効くのか?副作用は起こるのか?」といったこと客観的に証明することは原理的に不可能ということです。

ちょっとクド過ぎました。

すみません。

 

さて、ランダム化比較試験で有意差があれば因果関係を証明できるじゃないかという反論もあるかもしれません。

それは実務上は極めて妥当な考えでしょう。

医薬品の有効性を検討するために必ずと言っていいほど行われている試験ですね。

因果関係を推測するには最も適切な方法です。

しかし、仮設検定においてP<0.05は人間の一般常識の産物で、因果関係を保証する値ではないですね。

それに加えて、仮設検定には標本数を増やせば有意差が出るという欠点を持っています。

最良で現実的にほとんど正確でありながら、完全でないということ考慮しておく必要があります。

因果関係と確率論

ところが副作用ではそうは行きません。

起こるかどうかが不確実だからです。

さて、因果関係のもう一つの性質として、因果関係が話題に上がる時の多くは不確実性が伴う状況のことが多いことが挙げられます。

「〇〇が起こった。何が原因だ?」

という表現は因果関係がよく分からない時に発せられないでしょうか。

不確実性を取り扱う学問といえば確率論ですね。

したがって、因果関係は確率論と非常に相性が良いことが分かります。

このことについて次回から展開できたらと思っています。

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